次世代パワー半導体向け150 mm酸化ガリウム基板のサンプル出荷を開始

株式会社ノベルクリスタルテクノロジー
2026年2月27日


次世代パワー半導体向け150 mm酸化ガリウム基板のサンプル出荷を開始

-「研究から量産」への転換点。エピ成膜技術の開発を加速し、
2029年の量産開始を目指す。-

 酸化ガリウム(β-Ga2O3)ウエハのリーディングカンパニーである株式会社ノベルクリスタルテクノジー(本社:埼玉県狭山市、代表取締役社長:倉又 朗人、以下「当社」)は、次世代パワーデバイスの実用化を大きく前進させる150 mm(6インチ)β-Ga2O3基板のサンプル出荷を2026年3月より開始いたします。
 β-Ga2O3は、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を超える広いバンドギャップエネルギーを持ち、高耐圧・低損失・小型化を同時に実現する新材料です。低コストな融液成長法で高品質な大口径基板の製造が可能であり、パワーデバイスの大幅な高耐圧化と低損失化を実現し、鉄道や産業機器、電力系統の高効率化と装置の小型化に貢献します。
 これまでβ-Ga2O3基板は100 mm(4インチ)サイズまでの販売に留まっており、研究開発フェーズにありました。デバイスの本格量産には、既存のパワーデバイス生産ラインと適合する150 mm以上の大口径化が不可欠です。本サンプルの供給開始により、150 mmエピ成膜技術の開発やプロセスラインの整備が促進され、β-Ga2O3パワーデバイスの量産化に向けた取り組みが劇的に加速します。

150 mm β-Ga2O3基板

1. 背景と概要:高まる電力需要と大口径化への要求
 現在、産業界や交通分野の電化が急速に進み、AIデータセンターの新設が相次ぐなど、電力需要は世界的に増加の一途を辿っています。これに伴い、発電から送配電、消費に至る電力サプライチェーンの全域において、極めて高いエネルギー効率を持つ「高耐圧・大電力」なパワーデバイスへの要求が高まっています。
 当社は、2029年の「150 mm β-Ga2O3エピウエハ量産」をマイルストーンに掲げ、製造コストの低減とエピ成膜技術の構築を進めております。その最初の重要なステップとして、この度150 mm β-Ga2O3基板サンプルの提供を開始します。本基板を通じて、各企業や大学、研究機関における150 mm β-Ga2O3基板によるエピタキシャル膜の成膜技術の開発を強力に後押しします。また、当社では2027年の150 mm β-Ga2O3エピウエハのサンプル出荷、そして2029年の本格量産へと繋げることで、産学界を挙げた次世代パワーデバイスの社会実装を加速させてまいります。

2. 本製品の特長
 1)実績ある結晶育成技術による確かな品質と大型化

  今回の150 mm β-Ga2O3基板は、当社が長年培い、すでに100 mmサイズで実績のある結晶育成技術「EFG法
  ※1)」を用いて製造されます。融液成長法の利点を活かした迅速なスケールアップにより、高品質な大口径基板
  を安定して提供します。
 2)量産への必須条件“150 mm”を実現
  多くのパワーデバイス生産ラインで標準となっている150 mmサイズに対応。デバイス量産に向けたエコシステム
  の構築を支えます。
 3)エピ成膜およびプロセス開発の基盤を提供
  高品質な単結晶基板を早期に供給することで、これまで進んでいなかった150 mm環境下でのエピ成膜技術や、デ
  バイス構造の最適化を前倒しで進めることが可能になります。

3. 今後の見通し:DG法によるコスト破壊と量産化ロードマップ
 2029年からの量産フェーズでは、コストの高い貴金属製るつぼを使用しない革新的な結晶育成技術「DG法※2」を導入します。これにより、SiCを超える圧倒的なウエハ価格を実現し、β-Ga2O3パワーデバイスの普及を決定づけます。

 2027年: 150 mm β-Ga2O3エピウエハのサンプル出荷を開始予定
 2029年: DG法を用いた150 mm β-Ga2O3エピウエハの本格量産を開始予定
 2035年: 200 mm(8インチ)β-Ga2O3基板の供給開始を予定

 当社は、今後も、β-Ga2O3半導体技術のリーディングカンパニーとして、エネルギー効率の向上と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
 なお、本サンプル基板に関連する研究成果の詳細は、2026年3月15日(日)から18日(水)まで東京科学大学 大岡山キャンパスで開催される『第73回 応用物理学会 春季学術講演会』にて発表いたします(講演番号:17p-W9_324-7)。

【注釈】
※1:EFG(Edge-defined Film-fed Growth)法
   スリット状の部品(ダイ)を用いて融液を吸い上げ、ダイの上面形状に沿った単結晶を育成する手法。ダイ形状
   によって単結晶の形状の制御が可能。既に100 mm基板などで実用化されている信頼性の高い技術。

※2:DG(Drop-fed Growth)法
   貴金属(イリジウム等)製のるつぼを使用せず、単結晶を育成する次世代単結晶育成技術。材料コストと設備コ
   ストを大幅に抑制できるため、β-Ga2O3基板の劇的な低価格化を可能にします。 DG法は、NEDO(国立研究開
   発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業である、「経済安全保障重要技術育成プログラム/高
   出力・高効率なパワーデバイス/高周波デバイス向け材料技術開発/β-Ga2O3ウエハ、パワーデバイス及びパワ
   ーモジュールの開発」の一環として開発を進めております。

4. 問い合わせ先
 【本ニュースリリースに関する問い合わせ先】
  株式会社ノベルクリスタルテクノロジー 営業部 担当:増井 TEL:03-6222-933

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